令和6年度 南海医療センター 病院指標

南海医療センター 病院指標

令和6年度 南海医療センター 病院情報の公表

病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

医療の質指標

  1. リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率
  2. 血液培養2セット実施率
  3. 広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率
  4. 転倒・転落発生率
  5. 転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率
  6. 手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率
  7. d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡発生率
  8. 65歳以上の患者の入院早期の栄養アセスメント実施割合
  9. 身体的拘束の実施率
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 27 55 57 105 210 507 1249 938 315
へき地医療拠点病院で地域医療の中核として2次救急医療を含めた質の高い医療を提供している当院では、疾患の発生が多くなる60歳以上の患者さんの占める割合が多くなっています。
疾患としては、心不全や心筋梗塞などの心疾患、腎不全などの腎臓の病気、各種悪性腫瘍、誤嚥性肺炎などが多く見られます。若年層では外科や耳鼻咽喉科で手術を受けられる患者さんがほとんどを占めています。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで) ファイルをダウンロード
内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060100xx01xxxx 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。) 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 271 2.10 2.57 0% 70.42
050050xx0200xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等 手術・処置等1:なし、1,2あり 手術・処置等2:なし 127 5.35 4.18 0% 74.62
050050xx9920xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等1:2あり 手術・処置等2:なし 118 2.60 3.27 0.85% 74.10
050050xx9910xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等1:1あり 手術・処置等2:なし 95 2.62 3.07 1.05% 73.61
130030xx99xBxx 非ホジキンリンパ腫 手術なし 手術・処置等2:Bあり 60 15.92 12.23 1.67% 78.95
当院内科で最も多い症例は、大腸ポリープに対する内視鏡的切除術での入院です。大腸ポリープや腺腫に対しポリペクトミー・粘膜切除を行っており、ほとんどが1泊2日の短期入院となっています。
次に多い疾患は、狭心症等の虚血性心疾患に対するカテーテル治療やカテーテル検査入院です。カテーテル治療は、手首や足の血管から細い管を通し、心臓の血管の狭くなった部分を広げる治療法です。胸を切らずに行えるため体への負担が少なく、早期回復が期待できます。
また、悪性リンパ腫に対する化学療法目的入院も上位に含まれています。当院は、血液内科を有する病院として、悪性リンパ腫をはじめとした血液疾患の診断・治療に積極的に取り組んでいます。地域の患者さんが遠方へ行かずに専門的な治療を受けられるよう、日々努力を続けています。
外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060035xx99x5xx 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2:5あり 132 3.33 4.42 0% 72.87
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア(15歳以上) ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 48 7.40 4.54 2.08% 74.27
060330xx02xxxx 胆嚢疾患(胆嚢結石など) 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 36 9.00 5.99 0% 69.78
060020xx9903xx 胃の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1:なし 手術・処置等2:3あり 28 2.96 6.17 0% 70.32
060035xx99x4xx 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2:4あり 26 3.00 4.18 0% 69.58
当院外科では胃や結腸の悪性腫瘍に対する化学療法が上位を占めています。
手術だけではなく、化学療法を含めた計画的ながん治療に力を入れており、患者さん一人ひとりに合わせた治療を提供しています。
また、鼠径ヘルニアに対する鼠径ヘルニア手術、胆嚢疾患(胆石、胆嚢炎など)、胆嚢結石に対する胆嚢摘出術目的の入院も多く行われています。鼠径ヘルニア、胆嚢摘出術では、ほとんどの患者さんに腹腔鏡下手術を施行しています。
クリニカルパスを導入し、患者さんの身体的負担の軽減、合併症率の低下や入院期間の短縮に努めています。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800xx02xxxx 股関節・大腿近位の骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等 26 74.00 25.29 0% 83.38
160690xx99xxxx 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。) 手術なし 15 54.93 19.16 0% 82.13
070160xx01xxxx 上肢末梢神経麻痺 手根管開放手術等 4.24
070343xx97x0xx 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 腰部骨盤、不安定椎 その他の手術あり 手術・処置等2:なし 15.41
070343xx99x0xx 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 腰部骨盤、不安定椎 手術なし 手術・処置等2:なし 13.32
整形外科では、手術が必要な骨折や怪我による入院患者さんが多くなっており、1番目に多い疾患が多い疾患が大腿骨の骨折です。大腿骨の骨折は高齢の患者さんが転倒などで受傷することが多く、術後のリハビリ治療等で在院日数が長くなることが多いです。2番目に胸椎圧迫骨折や腰椎圧迫骨折となっています。
その他に多い疾患は、手根管症候群に対する手根管開放術を目的とする入院、腰部脊柱管狭窄症となっています。
整形疾患で入院する患者さんの平均年齢をみると80代の高齢の患者さんが多く、主に自宅での生活を目標に手術・リハビリ治療・疼痛管理・緩和治療等を中心に行っております。
耳鼻咽喉科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030350xxxxxxxx 慢性副鼻腔炎   53 8.23 5.84 0% 56.04
030230xxxxxxxx 扁桃、アデノイドの慢性疾患 45 7.82 7.35 0% 32.00
030340xxxxxxxx 血管運動性鼻炎、アレルギー性鼻炎<鼻アレルギー> 16 5.75 5.12 0% 39.81
030240xx99xxxx 扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎 手術なし 11 5.00 5.63 0% 31.55
030428xxxxx0xx 突発性難聴   手術・処置等2:なし 10 8.00 8.21 0% 51.30
当科は耳、鼻、咽頭・喉頭(のど)、頚部(くび)全般の外科的・内科的診療を行っており、耳鼻咽喉科として入院診療、手術が可能な施設でもあります。
最も多い疾患は、慢性副鼻腔炎となっており、内視鏡を用いた副鼻腔炎手術を行っています。また、扁桃腺の手術目的の入院も多く、アレルギー性鼻炎に対する外科的治療目的の入院もみられます。
また扁桃周囲膿瘍や急性扁桃炎も多く、発熱、痛み、飲食困難などの症状が重い場合に入院し、点滴などによる抗菌薬治療が行われています。
突発性難聴は重症化や合併症を防ぐため、できるだけ早期に治療を開始する必要があります。入院加療では点滴や薬物治療により、血流改善や炎症抑制を行い、回復をサポートしています。
耳鼻咽喉科領域での病気を地域で完結できるよう心懸けています。
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110080xx991xxx 前立腺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1:あり 51 2.12 2.45 0% 73.14
110070xx03x0xx 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等2:なし 24 8.71 6.81 0% 76.63
110280xx02x00 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 動脈形成術、吻合術 その他の動脈等 手術・処置等2:なし 副傷病:なし 14 2.07 7.38 0% 73.57
11012xxx97xx0x 上部尿路疾患 その他の手術あり 副傷病:なし 13 12.23 7.3 15.39% 7.31
110280xx9901xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1:なし 手術・処置等2:1あり 12 16.17 13.75 16.67% 71.08
泌尿器科では、健康診断などで前立腺癌を疑われ、針生検を受けるために入院される患者さんや、膀胱悪性腫瘍に対する経尿道的膀胱悪性腫瘍切除術(TUR-Bt)目的での入院が最も多くなっています。
前立腺生検での入院は検査結果の説明や治療方針の相談は外来で行うため、基本的に1泊2日の検査入院となっています。
経尿道的膀胱悪性腫瘍切除術は経尿道的に行われるため、短期入院で治療が可能です。
次に多い疾患は末期腎不全で、透析患者さんの内シャント造設目的、または、新規透析導入目的での入院となっています。
ほかには、尿路結石で尿管ステント留置等の手術目的の入院が見られます。佐伯市は高齢者の割合が多く、今後も泌尿器科系悪性腫瘍に対する検査や手術、腎不全に対する治療目的入院が上位を占めると考えられます。
救急医学科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
0400802499x0xx 肺炎等(市中肺炎かつ75歳以上) 手術なし 手術・処置等2:なし 13 16.62 16.40 15.39% 89.23
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2:なし 30.86
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし 16.33
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 手術・処置等2:なし 副傷病:なし 10.67
010290xxxxxxxx 自律神経系の障害 2.50
救急医学科では、主に救急搬送された患者さんや、緊急入院が必要な患者さんの診療を行っています。
急性肺炎(細菌性肺炎等)での入院が多くなっています。多くは抗菌薬の投与を行い、退院となっています。
誤嚥性肺炎では、高齢の患者さんが多く、退院までの日数が長くなる傾向があり、呼吸器リハビリテーションを施行し、早期退院できるよう努めています。
その他の感染症、外傷などの疾患が多くなっています。
外傷等の重症例は速やかに初期対応をしたのち、ドクターヘリ等にて大分市内の病院へ搬送してします。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 23 14 4 28 24 1 第8版
大腸癌 25 24 58 151 56 1 第8版
乳癌
肺癌
肝癌
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
当院は消化器内科および外科で胃癌、大腸癌、肝癌の患者さんの診療を行っております。肝癌においてはその診断や治療において放射線科の医師が関与することもあります。
胃癌や大腸癌は、早期であるI期の患者さんには内視鏡的治療を積極的に行っています。また、IV期の患者さんに対しては、手術(腹腔鏡下手術を含む)や化学療法など患者さんの状態に合わせた幅広い治療を実施しています。
肝癌に対しては、外科・放射線科・内科が連携をとり、患者さんの病状に合わせた治療法を選択しています。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症
中等症 45 23.58 85.33
重症 13 17.15 87.23
超重症
不明
中等症の患者数が最も多くなっています。
軽症の年齢に比べ、中等症以上では年齢が上がっています。高齢では市中肺炎が重症化する傾向のようです。
市中肺炎治療ガイドラインでは軽症の患者さんは外来治療となっており、入院加療の適応ではないことがあります。しかし、軽症の患者さんであっても心疾患や慢性腎不全などの合併疾患があり重症化することが危惧され入院となるケースがあります。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
- 10 26.80 80.50 40.00%
脳梗塞の集計では、3日以内の急性期の方、他医にて急性期治療し、回復期リハビリテーション病院への転院に向け、リハビリテーションを行っている方が多くみられます。
地域性から高齢者が多くなっており、約1ヶ月の入院期間で急性期治療とリハビリテーションを行い、多くは回復期リハビリテーション病院等へ転院します。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 273 0.18 1.20 0% 70.50
K5463 経皮的冠動脈形成術(その他) 105 2.91 5.12 0.95% 74.18
K6852 内視鏡的胆道結石除去術(その他 32 2.03 8.13 0% 82.44
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 25 3.92 14.48 4.00% 77.84
K5481 経皮的冠動脈形成術(高速回転式経皮経管アテレクトミーカテーテル) 23 0.48 3.35 0% 78.39
内科において、最も行われている手術は内視鏡的大腸ポリープ切除術です。大腸ポリープや腺腫に対しポリペクトミー・粘膜切除を行っており、1泊2日の短期入院が最も多くなっています。
2、5番目は狭心症や心筋梗塞に対する経皮的冠動脈ステント留置術、経皮的冠動脈形成術です。カテーテルを用いて行う心臓の血管を拡張させる治療であり、ほとんどの症例で手首の血管よりカテーテルを挿入します。よって、患者さんの負担は少なく、狭心症に対する治療では、術後2日間で退院が可能です。またロータブレーターを使用した治療も行っております。動脈硬化で血管が固く石灰化してしまった場合にも、専用の機器で削ることで血流を改善できる治療法です。高度な技術を必要とする治療であり、専門の医師が安全に行える体制を整えています。
心筋梗塞の患者さんにおいては、病気による心機能障害が発生するため、術後状態が安定した後に心臓リハビリテーションを行います。平均2週間程度の入院をとおして、日常生活へ戻れるようにサポートを行います。
3,4番目は内視鏡手術で行う胆道結石除去術、胆道ステント留置術です。これらの手術は、胆管内の結石や腫瘍により、胆汁の流れが障害された際に行う手術です。胆汁の流れが障害されると急性閉塞性化膿性胆管炎という大変危険な状態に陥ることがあります。
いずれも、多くの患者さんの救命に寄与できている手術です。
外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 62 2.0 7.27 8.07% 70.10
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 42 1.19 5.17 2.38% 73.62
K718-21 腹腔鏡下虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴わないもの) 26 1.12 5.19 0% 50.35
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 26 0.58 2.35 0% 73.54
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 14 3.64 16.50 14.29% 76.50
当院外科の手術件数では腹腔鏡下胆嚢摘出術が最も多くなっています。胆石、胆嚢炎に対して行われ、ほとんどの症例に対し、腹腔鏡下による胆嚢摘出術を施行しています。急性胆嚢炎症例に対しては、積極的に早期(4日以内)による腹腔鏡下手術を行っており、平均術後入院日数の短縮、合併症率の減少に寄与しています。
鼠径ヘルニアに対して行われる腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術や、急性虫垂炎に対して行われる腹腔鏡下虫垂切除術、結腸の悪性腫瘍を切除する腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術の際も積極的に腹腔鏡下手術を導入し、入院期間の短縮に努めています。
その他、内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満)は、定期的な大腸内視鏡検査の際に見つかり、その場で切除されることが多いです。

整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0811 人工骨頭挿入術(股) 15 2.73 79.80 0% 82.80
K0461 骨折観血的手術(大腿) 14 3.00 68.79 0% 87.21
K093 手根管開放手術
K0462 骨折観血的手術(前腕)
K0821 人工関節置換術(股)
整形外科では、手術が必要な骨折や怪我による入院患者さんが多くなっており、高齢患者さんが多く、平均年齢も80歳を超えています。
上位にある、人工骨頭挿入術(股)、骨折観血的手術(大腿)は大腿骨頚部骨折、大腿骨転子部骨折など大腿骨の骨折に対して行われています。大腿骨の骨折は高齢の患者さんが転倒などで受傷することが多く、術後のリハビリ治療等で在院日数が長くなることが多いです。
そのほかでは、手根管症候群に対する手根管開放術、転倒での受傷が多い前腕骨折に対する骨折観血的手術(前腕)、変形性股関節症に対して人工関節置換術(股)などが行われています。
耳鼻咽喉科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K3772 口蓋扁桃手術(摘出) 40 1.125 5.75 0% 35.20
K340-6 内視鏡下鼻・副鼻腔手術4型(汎副鼻腔手術) 30 1.00 6.50 0% 54.37
K340-5 内視鏡下鼻・副鼻腔手術3型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) 24 1.04 5.92 0% 57.33
K344 経鼻腔的翼突管神経切除術 14 1.00 4.14 0% 36.00
K370 アデノイド切除術
耳鼻咽喉科で最も多く行われてるのは、扁桃炎等を繰り返す方などに行う扁桃摘出手術です。平均年齢は35歳と、比較的若い世代の患者さんに多く行われています。
その他、上位にある内視鏡下鼻・副鼻腔手術(汎副鼻腔手術・複数同手術)は、慢性副鼻腔炎や鼻茸に対して行う手術で、内視鏡を用いて鼻の中から副鼻腔の病変を除去します。平均年齢は50代半ばで、日常生活の質改善につながる治療です。
経翼突鼻腔的翼突管神経切除術は難治性のアレルギー性鼻炎などに対して行われる手術です。こちらも平均年齢は約36歳と、若い世代の患者さんが中心です。
アデノイド切除術は鼻づまりやいびき、睡眠時無呼吸の改善を目的として行われることが多いです。
耳鼻科領域の手術は、生活の質を改善する目的で行われるものが多く、比較的若い患者さんが多いことが特徴です。
現在常勤医師2名体制となっており、手術件数が増加しています。
泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 26 1.31 7.12 7.69% 74.62
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用) 25 1.44 6.28 0% 77.04
K6121イ 末梢動静脈瘻造設術(内シャント造設術)(単純) 20 3.00 7.60 0% 75.95
K7983 膀胱結石摘出術(レーザーによるもの)
K7811 経尿道的尿路結石除去術(レーザー)
泌尿器科の手術症例数は、①経尿道的尿管ステント留置術、②経尿道的膀胱悪性腫瘍切除術(TUR-Bt)、③内シャント造設術、④膀胱結石摘出術(経尿道的手術(レーザー))、⑤経尿道的尿路結石除去術(レーザー)の順となっています。ほとんどが経尿道的に行われており、比較的早期に退院となっています。
内シャント手術に関しては、シャントが使用できるようになるまでに日数を要するため、術後8日前後で退院となっております。当院ではホルミウムヤグレーザーを用いた尿路結石手術を導入しているので、今後も尿路結石の手術件数が増えていくことが予想されます。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一
異なる 12 0.35%
180010 敗血症 同一
異なる 21 0.61%
180035 その他の真菌感染症 同一
異なる
180040 手術・処置等の合併症 同一 20 0.58%
異なる
これらの播種性血管内凝固症候群、敗血症、真菌感染症、手術・処置等の合併症は入院契機病名(入院のきっかけとなった傷病)の同一性の有無を区別して症例数と発生率を示したものです。
播種性血管内凝固症候群と敗血症では、内科的疾患が大半を占めていました。
手術・処置等の合併症は、当院において慢性腎不全に対して血液透析を行っている患者さんが多いこともあり、透析シャントに伴う合併症が多くなっています。また、扁桃摘出術等の術後出血も多く見られました。
◎播種性血管内凝固症候群は本来出血箇所のみで生じるべき血液凝固反応が、様々な重症の基礎疾患のために全身の血管内で無秩序に起こる症候群のことです。基礎疾患で入院治療中に病状が悪化して発症する場合が多くみられるため、早期診断と早期治療が求められます。
◎敗血症とは、肺炎や腎盂腎炎など生体のある部分で感染症を起こしている場所から血液中に病原体が入り込み、重篤な全身症状を引き起こす状態のことです。背景として悪性腫瘍、血液疾患、糖尿病、肝・腎疾患、膠原病といった基礎疾患がある場合、あるいは未熟児、高齢者、手術後といった状態である場合が多いとされています。
◎真菌症とは、カビの一種です。一般に、免疫機能が正常であれば、真菌感染症が体の奥の器官まで広がることはありません。
◎手術・処置等の合併症とは、手術や検査などの後、それらがもとになって起こることがある病気です。
リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率ファイルをダウンロード
肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが
「中」以上の手術を施行した
退院患者数(分母)
分母のうち、肺血栓塞栓症の
予防対策が実施された患者数(分子)
リスクレベルが「中」以上の手術を
施行した患者の肺血栓塞栓症の
予防対策の実施率
247 207 83.81%
本院では、手術患者全症例でリスクアセスメント評価を実施しています。
また、全身麻酔症例ではこのアセスメント評価に沿って、間欠的空気圧迫装置を麻酔導入時から開始しています。
昨年度に比べ、実施率がやや低下していますが、耳鼻咽喉科の手術を受ける患者さんの割合が増えたことが影響しています。耳鼻咽喉科の手術は、手術時間が短く、下肢血栓のリスクが低いため、予防の対象とならない場合が多くあります。患者さんの安全性に問題があるわけではなく、リスクに応じた適切な予防を行っています。
血液培養2セット実施率ファイルをダウンロード
血液培養オーダー日数(分母) 血液培養オーダーが1日に
2件以上ある日数(分子)
血液培養2セット実施率
674 611 90.65%
血液培養2セット実施は、感染症治療として広域抗菌薬を投与する際に、投与開始時に実施することが望ましいとされています。
血液培養1セットでは2セットに比べ陽性率が低く、2セット採取が推奨されています。血液培養2セット実施率は血液培養を行う際に2セット以上の検査が実施された割合を示しています。
本院では、抗菌薬使用支援チーム(AST)を組織しており、抗菌薬の選択や量だけでなく、必要な検査の実施についても検討しています。本院の令和6年度の実施率は90.65%となっており、一般的に理想とされている80~90%の指標を上回っています。
広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率ファイルをダウンロード
広域スペクトルの抗菌薬が
処方された退院患者数(分母)
分母のうち、入院日以降抗菌薬処方日
までの間に細菌培養同定検査が
実施された患者数(分子)
広域スペクトル抗菌薬使用時の
細菌培養実施率
299 274 91.64%
不適切な抗菌薬の使用は、耐性菌の発生や蔓延の原因になることから、使用を必要最低限に留める必要があります。
そのためには、細菌培養検査を行い、最も効果のある抗菌薬を調べることが不可欠であり、広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率を算出し、評価をしています。
本院の令和6年度の実施率は91.64%となっています。
転倒・転落発生率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
もしくは入院患者延べ数(分母)
退院患者に発生した転倒・転落件数
(分子)
転倒・転落発生率
54497 175 3.21‰
転倒転落アセスメントスコアという点数でリスクを判断する方法を使用しており、点数が高いほど転倒のリスクが高いと判断します。
このスコアがⅡ(中リスク)での転倒件数が多くみられています。
転倒・転落の報告を受けた場合、患者さんのベッドサイドラウンドを実施するようにしており、環境面での安全確認を行っています。
一人ひとりに合わせた対策を実施し、同一患者さんの再転倒予防のために取り組んでいます。
転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
もしくは入院患者延べ数(分母)
退院患者に発生したインシデント
影響度分類レベル3b以上の
転倒・転落の発生件数(分子)
転倒転落によるインシデント影響度
分類レベル3b以上の発生率
54497
「―(ハイフン)」は10件未満となっており、良好な結果です。
手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率ファイルをダウンロード
全身麻酔手術で、
予防的抗菌薬投与が実施された
手術件数(分母)
分母のうち、手術開始前
1時間以内に予防的抗菌薬が
投与開始された手術件数(分子)
手術開始前1時間以内の
予防的抗菌薬投与率
473 456 96.41%
手術の際には、傷口から細菌が侵入し、感染がおこる可能性があります。これを防ぐために、予防的抗菌薬を手術の直前に投与します。
特に効果が高いとされているのが、手術開始の一時間以内に投与を始めることです。このタイミングで血液中や組織に十分な抗菌薬濃度を確保でき、手術部位感染のリスクを大きく減らすことができます。
当院の手術開始前1時間以内の予防的抗菌薬投与率は96.41%でした。
引き続き適正な投与を徹底して、感染予防に取り組みます。
d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡発生率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和もしくは
除外条件に該当する患者を除いた
入院患者延べ数(分母)
褥瘡(d2(真皮までの損傷)以上
の褥瘡)の発生患者数(分子)
d2(真皮までの損傷)以上の
褥瘡発生率
52433 23 0.04%
褥瘡(d2(真皮までの損傷)以上の褥瘡)の発生率は0.04%と低い水準に抑えられています。
長時間の安静や体位変換が難しい場合や、栄養状態不良、浮腫、るい痩等の患者さんに褥瘡が発生しています。
多職種による褥瘡対策チームの活動や、定期的な皮膚の観察、体位変換・栄養管理などの取り組みにより褥瘡の予防と早期発見に努めています。
65歳以上の患者の入院早期の栄養アセスメント実施割合ファイルをダウンロード
65歳以上の退院患者数
(分母)
分母のうち、入院後48時間以内に
栄養アセスメントが実施された
患者数(分子)
65歳以上の患者の入院早期の
栄養アセスメント実施割合
2746 2349 85.54%
栄養アセスメントとは、患者さんの身体計測や食事摂取状況、検査データ、病態などを基に栄養状態を評価するものです。
当院では、栄養管理が必要とされる患者に対しアセスメントを行い、低栄養リスクが高い患者にはNST(栄養サポートチーム)等と連携し、早期から栄養管理を実施しています。
身体的拘束の実施率ファイルをダウンロード
退院患者の在院日数の総和
(分母)
分母のうち、身体的拘束日数の総和
(分子)
身体的拘束の実施率
54497 2131 3.91%
身体拘束は、患者さんの尊厳を損ない、心身に大きな負担を与えるため、患者さんの安全を第一に考え、やむを得ない場合を除き、身体拘束を行わないことを基本としています。
点滴ラインや、カテーテルを誤って抜去してしまうことを防ぐためのミトン型手袋、上肢安全帯が主に使用されています。
いずれも患者さんの生命を守るために最小限必要な場合に限り使用しています。
取り組みとしては、身体拘束最小化チームによる病棟ラウンドや、多職種カンファレンスを行い、拘束を行わずに安全を守れる方法を検討しています。
また、拘束実施状況をカルテ情報より継続的にモニタリングをしています。
患者さんの尊厳を尊重しながら、安全と安心を両立できるよう取り組んでいます。
更新履歴
2025年9月25日